食堂かたつむり

自分の嗜好に合わないのを差し引いても、10点満点で何点? と聞かれたら迷うことなく3点と答える感じでした。
私は、内容はどうでもよく(面白いに超したことはないけど)、「かたつむり」という言葉に惹かれただけなので、甘めに+1点で4点かな。
その3(4)点はある一部分に凝縮されてます。
ある部分については、いささか卑怯なネタではあったけど泣けたし、
それ以外は、ずーっと「だからどうした」という気持ちがつきまとってました。
主人公の動きに説得力が無く主人公の料理の腕の担保も無いし、料理についてもやっぱりだからどうしたという感情が先に立ちます。
情景描写のたとえも鬱陶しいし、良いところはあんまり無かったです。
料理がいっぱい出てくる本なのに、どれひとつとして食べたいと思わなかったのも致命的なような気もするし。
カリオストロの城を見るとナポリタンが食べたくなるのに。


血湧き肉躍るお話じゃないのは当然なんだけど、だったらもっと綿密に積み重ねていってほしかったと思うのでした。
まあ、かたつむり分は微妙に補給できたから良いけど。
以降ちょっとネタバレ
エルメスを食べるというのも、最初から読めてたんですがいざその段になるとやっぱり泣けますね。
ただ感動に至る過程(エルメスとの親交など)はほとんど書かれてないので、条件反射的なモノなんですが、やっぱり生き死には心が動きます(おかんの方にはあまり感慨はなかったけど)。
この物語は、エルメスを食べる話だと言ってもいいくらい。


ラストで主人公の声が戻るというのも、なんともご都合主義だなあと最初思ったんですが、それだとあんまりなので「かたつむりで食事をすると奇跡じみた事が起こるというのが自分にも起きた」という事なのだと好意的に解釈することにしました。
この手の小説はやっぱり肌に合わないのかなあ。